こんにちは、2級FP技能士の紗季です。
このブログは親のためのお金の教科書です。「我が子に金融の知識を教えたい!」と思う親のみなさんに向けて、お金に関する知識、資産運用のノウハウや子どもへの教え方について解説しています。
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今回のテーマは、小学生対象のお金の教育方法です。「お金の教育を始めたいけれど、何から始めていいのかわからない…」と悩む親御さんに向けて、小学生が理解しやすい難易度の内容をまとめました。
・小学生に教えるべき具体的な内容
・いろいろなタイプのおこづかい制
それでは始めましょう!
お金の教育とは?
お金の教育とは、お金にまつわることを幅広く扱う教育です。
具体的にいうと、「お金とは何か」という原始的な問いから始まり、
- お金との付き合い方を学ぶ金銭教育
- 資産運用や経済を学ぶ金融教育
- お金の使い方を学ぶ消費者教育
がメインとなります。さらには、詐欺などのお金に関するトラブルについても学びます。
年齢が低いうちは「おこづかい」や「貯金」など、直接お金に触れて学ぶ金銭教育がメインです。実際に体験することで、お金が増えたり減ったりすることや、お金でモノを買うことについての概念を理解していきます。その土台を作ったうえで、小学校高学年からは金融教育や消費者教育といった高度なものを学んでいきます。
小学生にお金の教育をする際に大切なこと
小学生になると、世の中の仕組みを少しずつ理解することができるようになります。まだ実際にお金をあまり使ったことがないこの時期、変な癖がつく前にまずはお金の基礎を教えることが大切です。
教育を進めるうえで気をつけたいのが、無理強いをしないということ。お金に対してポジティブな印象を持ってほしいので、親子で楽しく学ぶことを心がけましょう。
具体的な内容
その1.おつかいに行かせる
小学生になったらまずチャレンジしてみてほしいのがおつかいです。近くの行き慣れたお店にひとりで行き、指定の商品をひとつ購入してきてもらいましょう。(事故など起きないよう、子どもの安全を確保することを忘れずに)
こういった一連の体験をすることで、以下のことを自然に学ぶことができます。
- モノを買うためにはお金が必要
- 同じモノでもメーカーや種類によって値段が異なる
- 欲しい商品は自分で選べる
これらは今後、自分で商品の要否を判断し、適切な金額を見極められるようになるための土台となります。
また、例えば150円の商品を買うときに200円を出せばお釣りがもらえ、150円ではもらえないことなどから、数の概念も学ぶことができます。
実体験をさせてあげることで、子どもは自ら多くのことを学んでくれます。おつかいが成功体験となるよう、帰ってきたら感想をたくさん聞いてあげてくださいね。
その2.お金の役割を教える
お金に触れる機会が多くなってきたら、お金の役割も何となくわかってくる。このタイミングでお金の役割を教えよう
お金は大きく分けて3つの役割を持っています。
- 価値尺度
- 交換手段
- 貯蔵手段
それぞれ説明をしていきましょう。
お金はあらゆるモノの価値を測る尺度としての役割があります。お金がなかった物々交換の時代は、魚2匹と卵2個を交換というようにモノの価値があいまいで、誰もがわかるように定義されているわけではありませんでした。しかし、お金という概念が生まれたことで、モノの価値を同一の尺度で測ることができるようになり、モノの価値が明確に捉えられるようになりました。
お金はそれと同等の価値のモノと交換するという役割があります。物々交換だった時代は、以下2つの意思が一致しなければ、モノの交換は成立しませんでした。
- 自分が交換したいモノを相手が欲しがるか
- 自分欲しいモノを相手が交換できるか
これでは、意思がぴったり合うのはなかなか難しそうですよね。この不確実性を解消するために、お金は生まれました。お金は交換の基準となり、お金を介してモノの交換ができるようになりました。
その3.おこづかい制を導入する
おこづかい制については、「どこまでおこづかいから払わせるべきか難しく、結局親が面倒になりやめてしまう」という意見を聞くことがあります。しかし、私はその面倒な部分も含め、ぜひおこづかい制を導入してほしいと思っています。
おこづかい制を導入すると、子どもは自分の頭を使ってお金とモノについて考えるようになります。せっかくの500円のおこづかいをすべてガチャガチャに使ってしまった…親からすると「なんてもったいない使い方!!」と思ってしまいますが、そんな使い方をしてしまった場合でも、子どもは何かしらを感じていますし、繰り返すうちに成長がみられるようになるはずです。自分にとって何に価値があるかを繰り返し考えることで、上手に要否を判断できるようになっていくのです。
また、親が面倒と感じやすいおこづかいで買う範囲を決めることについては、ぜひ親子で話し合ってほしいと思います。そこに正解はないので、それぞれの親子で納得のできる決定をしてくださいね。
おこづかい制度の「定額制」と「歩合制」
定額制とは?
定額制とは、毎月決まった日に決まった金額を渡すことです。(例:毎月1日に500円渡す)年齢に応じた金額をあらかじめ決めておきます。
歩合制とは?
歩合制とは、お手伝い(=仕事)をするたびにお金を渡すというかたちです。(例:お風呂掃除をしたら100円渡す)
私のおすすめは…
まずは定額制から始めることをおすすめします。まずは自分でお金を管理する力を身につけてほしいからです。
歩合制のメリットであるお金を稼ぐことの大変さを理解してほしいと思ったら、おこづかい以外の場面で考えてみてはいかがでしょうか。
私のいちおしはキッザニアです。キッザニアとは、いろんなお仕事を体験し、その対価を受け取って、その対価でお買い物をしたり貯金をしたりということができる施設です。お仕事自体が楽しくできるように工夫されていますし、得た報酬をどのように使うかを子ども自身で決めることができます。
おうちで行うお手伝いとは異なる性質なので、対価を得られないお手伝いに意義を感じにくくなるというデメリットも起こりません。普段のおこづかいは定額制で、稼ぐことの大変さを実感してもらいたい場合にはキッザニアなどの施設を利用するというのがバランスが良いと思います。
その4.働くことの大切さを教える
おやつを食べたり習い事をしたり。毎日を何不自由なく暮らせているのは、お父さんやお母さんが働いてお金を稼いでいるからこそ成り立っているということを、改めて教えましょう。
また、なぜ仕事をするとお金をもらえるのか。それは、仕事が世の中のためになっているからということも併せて教えましょう。医者は患者の病気を治してくれる、清掃員は部屋や街を綺麗にしてくれる、など、子どもと身近なところで働いている人たちが「誰にとって」「どんな役に立っているか」を一緒に考えてみると、話が広がりやすいです。
また、最も身近な社会人である両親の仕事については、やりがいや意気込みも併せて熱く語ってみてください。「僕のお父さん(お母さん)って、毎日お仕事を頑張っていてすごいな」と感じてくれ、仕事の大切さをより理解しやすくなると思います。
その5.お金の「貸し借り」の危険性を教える
お金の貸し借りは誰ともしないこと!
これをしっかりと子どもに伝えましょう。近年では、小学生でもお金の貸し借りでトラブルが起こることがあるようなので、なるべく早いうちからルールとして共有しておくと良いです。
なぜお金の貸し借りがいけないのかというと、トラブルが起こりやすいからです。貸し借りをしたことを忘れてしまったり、期日までに返せなかったりといったことで仲が悪くなり得ますし、親を巻き込んだトラブルに発展することもあります。
また、大人になってからも無計画な借金をしないということにも繋がります。ショッピングやギャンブルなど、自分の欲望を満たすための借金は特に注意しなければいけません。小さいうちから「足りなければ借りればいいや」という意識を持たないようにするために、お金の貸し借りをしないことを徹底していきましょう。
その6.本を読む
お金の教育は、子どもが自分で本を読むことでもできます。お子さんに、ぜひ本をプレゼントしてあげましょう。
活字を嫌がる子には、漫画がおすすめです。どちらにせよ、楽しく読めることが大切です。
まとめ
今回は、小学生向けに身につけてほしいお金のことについて解説しました。小学生のお子さんを持つ親御さんは、ぜひ取り入れられそうなところから始めてみてください。
小学生のうちから、難しい金融の知識などを完璧に理解する必要はありません。まずは身近なところから、お金や仕事に対して意識を向けてみることが大切なのです。親子で一緒に習慣づけていけるといいですね。
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